解答イメージ

本日は、FP2級過去問題(2021年1月学科試験)の解説を行います。

実際に試験で問われた問題の解き方を見ていただき、FP試験がどのような難易度なのか、体感していただけたら嬉しいです。

 

今回は、2021年1月学科試験の問3です。

問題は以下になります。

公的医療保険に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか?

リタイアメントプランニングの分野からの出題ですね。

 

それでは、問いを見ていきましょう。

 

  1. 定年退職により健康保険の被保険者資格を喪失した者は、所定の要件を満たせば、最長で2年間、健康保険の任意継続被保険者となることができる。
  2. 健康保険の被保険者資格を喪失する日の前日までに引き続き1年以上被保険者であった者は、資格喪失時に支給を受けている傷病手当金を、原則として支給期間満了まで継続して受給することができる。
  3. 健康保険の被保険者は、70歳に達したときにその被保険者資格を喪失し、後期高齢者医療制度の被保険者となる。
  4. 後期高齢者医療制度の被保険者が保険医療機関等の窓口で支払う一部負担金(自己負担額)の割合は、原則として、当該被保険者が現役並み所得者である場合は3割、それ以外の者である場合は1割とされている。

 

どれが間違いかわかりますか?

ひとつずつ見ていきましょう。

 

1.定年退職により健康保険の被保険者資格を喪失した者は、所定の要件を満たせば、最長で2年間、健康保険の任意継続被保険者となることができる。

 

被保険者が2ヶ月以上健康保険に加入していた場合、退職日の翌日、つまり資格がなくなった日から20日以内に住所地を管轄する協会けんぽ支部に申請することで、2年間、任意継続被保険者になることができます。

(健康保険組合に加入していた方は、健康保険組合にて手続きをします。)

 

ですので、これは間違っていません。

 

ちなみに、退職せずに勤務時間・日数が減ったことで、健康保険の資格を喪失してしまった場合も同じです。

 

 

2.健康保険の被保険者資格を喪失する日の前日までに引き続き1年以上被保険者であった者は、資格喪失時に支給を受けている傷病手当金を、原則として支給期間満了まで継続して受給することができる。

 

健康保険任意継続制度は、基本的に在職中と同様の保険給付を受けられるのですが、1年以上継続して被保険者だった方が退職日時点で、傷病手当金や出産手当金を受けていたり、受ける条件を満たしている場合を除き、傷病手当金や出産手当金を受け取ることができません。

 

この設問では、『資格喪失時に支給を受けている』となっているので、受け取ることができます。

 

つまりこの設問も間違っていません。

 

 

3.健康保険の被保険者は、70歳に達したときにその被保険者資格を喪失し、後期高齢者医療制度の被保険者となる。

 

後期高齢者医療制度の対象者は、寝たきりなど一定の障害がある場合を除き、75歳以上です。

寝たきりなどの場合は、65歳以上になります。

 

設問には、特に障害があるとの記載がありませんので、この内容には間違いがあります。

 

4.後期高齢者医療制度の被保険者が保険医療機関等の窓口で支払う一部負担金(自己負担額)の割合は、原則として、当該被保険者が現役並み所得者である場合は3割、それ以外の者である場合は1割とされている。

 

後期高齢者医療制度の自己負担額は、現役並みの所得がある場合3割になります。

それ以外の方は、1割負担です。

 

この設問も間違っていません。

 

なお、単身世帯で年収383万円、夫婦2人世帯で年収520万円が基準額になります。

 

ちなみに、住民税が課税される所得額で判定されます。

4月から7月までが前年度、8月から翌年3月までは当該年度の住民税が課税される所得額(各種所得控除後の所得額)が用いられます。

 

 

まとめ

 

最後に今回の問題から学べたポイントをまとめておきます。

 

定年退職時、健康保険任意継続制度に入るには、2ヶ月以上健康保険に加入実績が必要です。

また、退職日の翌日から20日以内に申請しなければいけません。

 

そして、傷病手当金や出産手当金をもらい続けられるのは、1年以上の加入実績と資格喪失時までに手当をもらっていた、または、もらえる条件を満たしている人だけです。

 

後期高齢者医療制度は、一定の障害がある場合は65歳から、ない場合は75歳からが対象になります。

対象者の自己負担割合は、1割となります。

ただし、現役並みの所得がある場合は、これまでと変わらず3割負担です。

 

以上が今回学べた内容になります。

 

それでは、引き続き勉強を頑張ってください。

 

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