
ファイナンシャルプランナー(FP)、書店で資格関連の棚に行くとよく見かける資格けど、いったい何が学べて、どのぐらいの難易度何だろう?
そんなあなたに、ファイナンシャルプランナーの難易度に合格率に勉強法や宅地建物取引士の資格との違いまで解説していきますので、ぜひご覧ください。
もくじ
ファイナンシャルプランナー(FP)とは
ファイナンシャルプランナーは、暮らしとお金の専門職。
その能力を証明する国家資格がファイナンシャル・プランニング技能士です。
家計の改善などを行う家計のアドバイザー、試験開催元のFP協会では、「家計のホームドクター®」と表現しています。
また、家計の改善を行うためには、節約などの小さなことから、税金、投資、不動産や老後に相続など幅広い知識が必要となります。
これらをファイナンシャルプランナー(FP)の資格を取るまでに、ライフプランニングと資金計画、金融資産運用、タックスプランニング、リスク管理、不動産、相続・事業承継といった6つの分野に分けて学んでいきます。
資格取得を目指して勉強をしていくことで、先の見えない未来に備えたお金の知識が身につくわけです。
不動産の知識も学ぶせいか、「宅建(宅地建物取引士)とどっちを取った方がいいの?」という質問がよくありますので、違いをお話します。
ファイナンシャルプランナー(FP)と宅地建物取引士の違いは?どっちを取るべき?
宅地建物取引士は、不動産取引に関わる法律のエキスパート。
ファイナンシャルプランナー(FP)と宅地建物取引士は、どちらも国家資格で、どちらも人気の高い資格です。
どちらを取るべきか?と聞かれても一概にこっちです、とは言えません。
資格をどのように活用されるかによって答えが変わるからです。
たとえば、不動産関連の仕事を目指されている方は、間違いなく宅地建物取引士を取得するべきです。
特に業界も決まっておらず、就職・転職を目指されている方には、ファイナンシャルプランナー(FP)の取得がおすすめです。
その理由は、ファイナンシャルプランナー(FP)は、幅広いお金の知識を勉強するため、お客様と関わる全ての仕事で活用できるからです。
つまり、ファイナンシャルプランナー(FP)は不動産関連の仕事でも活かすことができるというころです。
ですので、余裕がある方は2つも取る、いわゆるダブルライセンスがおすすめです。
ダブルライセンスを目指すメリットとは
両方の資格を取るには、それなりに時間がかかりますが、それ以上のメリットがあります。
1つ目は他の人との差別化
就職・転職の面接時、1つの国家資格であれば、持っている求職者は、たくさんいます。
ですが、2つの国家資格を持っている人がどれだけいると思いますか?
ダブルライセンスを持っていることは、大きなアピールポイントとなります。
2つ目は資格の相乗効果
全く関係のない資格であれば、いくつ資格を持っていても相乗効果は得られません。
ファイナンシャルプランナー(FP)で学ぶ6分野の中に不動産が含まれていることからも、おわかりだと思いますがファイナンシャルプランナー(FP)と宅地建物取引士は親和性の高い資格です。
ですので、両方取得することで、相乗効果が得られるのです。
たとえば、あなたが賃貸マンションを探していたとして、 応対した不動産仲介業者の方が、あなたのライフプランなども考慮に入れた適切な物件を提案してくれた場合、『ちゃんと私のことを考えてくれる親切な人だな』と思いますよね。
仮に自分の営業成績のことばかり考えている人が同じ物件を提案してきたとしても、親切な仲介業者で契約をしませんか?
実際に毎年、不動産仲介業をされている多くの方が、ファイナンシャルプランナー(FP)を取得されています。
実務の中で必要性を感じて取得されているのだと思います。
このようにファイナンシャルプランナー(FP)と宅地建物取引士のダブルライセンスを目指すだけの価値は十分あるわけです。
とはいえ、ダブルライセンスを取るには時間がかかります。
ダブルライセンスに向けたスケジュール
まず、最初に考えておくべきことは、『どちらを先に取るか』です。
もちろん、仕事で必要になるからという場合は、そちらを取るべきです。
ですが、それ以外の方は、まずファイナンシャルプランナーの取得がおすすめです。
理由は、ファイナンシャルプランナーが比較的、難易度が低いからです。
宅地建物取引士の合格率は15~17%に対し、ファイナンシャルプランナー2級は40%前後。
さらに、取得までにかかる勉強時間が、宅地建物取引士の平均500時間に対し、ファイナンシャルプランナー2級は150~300時間。
さらにさらに、宅地建物取引士の試験が年1回(10月)に対し、ファイナンシャルプランナー2級は年3回(1月、5月、9月)開催されます。
難易度が低く、勉強時間も少なく、試験の開催回数の多いファイナンシャルプランナー2級の方が早く合格できるのです。
例えば3月から勉強を始めた場合、
このような流れで進めればスムーズです。
「まずはファイナンシャルプランナー2級の取得を目指そう」という方は、続きを読んでください。
ファイナンシャルプランナー(FP)の難易度は?
では、ファイナンシャルプランナーの資格の難易度って具体的にどの程度なの?という疑問をお持ちだと思います。
ここでは、開催試験毎の合格率の推移、試験までに必要な勉強時間、出題形式を元に難易度をお話していきます。
ファイナンシャルプランナー(FP)試験概要
まず、合格率の推移を見ていく前に、試験の概要についてお話します。
2つの試験
試験は学科試験と実技試験の2つに分かれており、両方合格することで、資格を取得することができます。
どちらか片方だけ合格した場合、一部合格となり、次回からは合格できなかった方のみの受検でOKです。
一部合格の有効期間は、実施試験日の翌々年度末までです。
以降は、両方の試験の受検が必要になります。
試験会場について
試験はオンラインではなく、実際の会場にて行われます。
なお、試験会場は毎回異なります。
試験の開催は、日本FP協会と一般社団法人金融財政事情究会の2つの団体にて行われます。
ちなみに、試験会場はそれぞれの団体が別々に用意しています。
試験内容について
試験の開催日は同じ日に行われ、学科試験の内容は同じですが、実技試験の内容は異なります。
実技試験は、実際に体を動かし何かするものではありません。
学科試験が基本問題で、実技試験が応用問題といった意味合いになります。
学科試験では、主にテキストの内容を正しく覚えているか、が問われるのに対し、実技試験は、具体的な事例を用いた問題や計算問題など実践的な内容が問われます。
受検資格について
ファイナンシャルプランナーの国家資格は、3級~1級まであります。
3級は誰でも受検できるのですが、2級と1級には受検資格が必要です。
ファイナンシャルプランナー(FP)2級の受検資格は
・ファイナンシャルプランナー(FP)3級に合格している
・厚生労働省認定金融渉外技能審査3級に合格している
・ファイナンシャルプランナー(FP)業務に関し2年以上の実務経験がある
・日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了している
上記のいずれかの条件を満たす方のみ受検できます。
ファイナンシャルプランナー(FP)1級の受検資格は、学科試験と実技試験で異なります。
学科試験
・ファイナンシャルプランナー(FP)2級を取得後、1年以上のFP関連業務の実務経験
・FP関連業務の5年以上の実務経験
実技試験
・CFP認定者
・CFP資格審査試験の合格者(有効期間は合格日の翌々年度末)
・FP1級の学科試験合格(有効期間は合格日の翌々年度末)
・FP養成コース修了とFP関連業務の1年以上の実務経験
ちなみにFP養成コースは、金融財政事情研究会が実施しています。
受検資格が必要になるため、FP業務未経験者は、3級と2級のどちらかの取得を目指すことになります。
『あれ、2級にも受検資格が必要ですよね?』と思ったあなたも安心してください。
実は2級の受検資格は最短1ヶ月、簡単に取ることができるのです。
その方法は、日本FP協会が認定するAFP認定研修の修了です。
認定研修の受講に1~2万円程度お金はかかりますが、3級を受けずに2級の受検が可能です。
お金がもったいないという方は、2級の受検対策と一緒になった講座もあります。
以上が概要です。
では、いよいよ難易度についてお話ししていきます。
ファイナンシャルプランナー(FP)合格者数の過去5年間の推移
ファイナンシャルプランナー(FP)3級学科試験
2021年5月 | 83.25% | 2021年1月 | 87.92% |
---|---|---|---|
2020年9月 | 89.64% | 2020年1月 | 85.34% |
2019年9月 | 78.09% | 2019年5月 | 69.07% |
2019年1月 | 74.09% | ||
2018年9月 | 78.63% | 2018年5月 | 78.92% |
2018年1月 | 80.33% | ||
2017年9月 | 78.47% | 2017年5月 | 71.87% |
2017年1月 | 67.20% |
ファイナンシャルプランナー(FP)3級実技試験
2021年5月 | 76.65% | 2021年1月 | 86.53% |
---|---|---|---|
2020年9月 | 88.04% | 2020年1月 | 79.45% |
2019年9月 | 79.48% | 2019年5月 | 86.42% |
2019年1月 | 83.38% | ||
2018年9月 | 86.50% | 2018年5月 | 90.47% |
2018年1月 | 89.07% | ||
2017年9月 | 85.37% | 2017年5月 | 86.18% |
2017年1月 | 85.07% |
ファイナンシャルプランナー(FP)2級学科試験
2021年5月 | 55.61% | 2021年1月 | 44.02% |
---|---|---|---|
2020年9月 | 49.19% | 2020年1月 | 41.86% |
2019年9月 | 43.42% | 2019年5月 | 40.17% |
2019年1月 | 48.26% | ||
2018年9月 | 39.47% | 2018年5月 | 42.93% |
2018年1月 | 45.63% | ||
2017年9月 | 47.82% | 2017年5月 | 41.44% |
2017年1月 | 39.43% |
ファイナンシャルプランナー(FP)2級実技試験
2021年5月 | 66.67% | 2021年1月 | 71.01% |
---|---|---|---|
2020年9月 | 57.37% | 2020年1月 | 62.61% |
2019年9月 | 62.63% | 2019年5月 | 62.65% |
2019年1月 | 50.31% | ||
2018年9月 | 50.52% | 2018年5月 | 51.68% |
2018年1月 | 57.45% | ||
2017年9月 | 58.34% | 2017年5月 | 46.79% |
2017年1月 | 63.87% |
毎試験の合格率は、3級が80%前後、2級が40%前後となります。
ファイナンシャルプランナー(FP)合格までに必要な勉強時間
勉強時間に関しては、その方の理解力や、予備知識によって異なります。
一般的な目安は3級で80~150時間、2級で150~300時間と言われています。
とはいえ、一般的な話だけでは参考にならないと思いますので、ここでは、全くの未経験者で、予備知識もなく、10年以上勉強をしてこなかった専業主婦の方が、取得までにかかった時間を参考にしたいと思います。
久しぶりの勉強ということもあって、最初の10日間は教科書を開けても集中力が続かず毎日30分で終了…
その後、自分のできなさにやる気がなくなり1週間ぐらい、教材を見るのも避けていました。
『せっかくお金を払ったんだから、もったいない』と思い直し勉強を再開しました。
再開後は、無理に勉強しようとはせず、ただ眺めるだけでもいいので毎日最低1時間、眺めるようにしました。
特にいつまでに資格を取りたいと決めていなかったので、心に余裕もあり、少しずつですが、勉強を続けることができました。
勉強を始めて1ヶ月経つころには、徐々に専門用語もわかるようになってきて、集中力も続くようになったので、勉強時間を増やすことにしました。
3時間以上勉強する日もありましたね。
過去問題を見てみるとわかる問題が結構あったので、最短の日程で受検を決意しました。
試験日の1ヶ月前は、毎日4時間以上、勉強していました。
3ヶ月で230時間ぐらい、勉強した結果、ファイナンシャルプランナー(FP)2級に合格できました!
余裕を持って勉強を続けることで、ファイナンシャルプランナー(FP)は取得できます。
ファイナンシャルプランナー(FP)資格の出題はどんな形式?
3級の試験はマークシート方式です。
いわゆる選択問題ですね。
○×問題や三答一択の問題が出題されます。
四択ですらありません。
なんとなくの理解でも解けるため、難易度はかなり低いものになります。
合格率が80%越えの理由は、このあたりにあるのだと思います。
そして、2級もマークシート形式になります。
ただし、四択です。
これだけでも単純に難易度はあがります。
さらに、計算問題や語群問題などが増えるため、3級とは比較にならないほど、難易度は高いものになります。
とはいえ、3級に比べてです。
2級に関しても、国家資格の中では、取得のしやすい資格です。
大学入試で例えると、偏差値50前半と言われています。
そこまで難しくない資格というわけですね。
とはいえ、2級からの受検は不安だから確実に取れる3級から、という方は注意してください。
時間がかなりかかってしまいます。
ファイナンシャルプランナー(FP)3級と2級の併願はできる?
結論になってしまいますが、試験は同じ日の同じ時間に行われているため、併願はできません。
ですので、3級合格後、別の日程で2級を受検しなければいけません。
例えば、3月から勉強を始めた場合のスケジュールは、このようになります。
2級の取得までに1年近くかかります。
『マイペースに勉強するからいいよ』という方もいると思いますが、1年間モチベーションを維持するのは、かなり大変なことです。
モチベーションが続くうちに短期間に2級を取得してしまうことをおすすめします。
また、モチベーションを維持するいい方法は、目的を明確にすることです。
私は〇〇するために〇〇までに資格を取る。
勉強を始める前に、このような目標を掲げておきましょう。
では、他の受検者がどのような人で、何を目標にしているのか、気になりますよね。
ファイナンシャルプランナー(FP)受検者の年齢や業種の傾向は?
残念ながら、受検者の年齢、性別、業種の情報は公開されていません。
ですので、スクールに通われている方の属性を公開したいと思います。
まずは、年齢ですが、
・20代:15%
・30代:40%
・40代:40%
・50代:4%
・60代以降:1%
となります。
男女比は4:6で女性の受検者が若干多くなっています。
業種に関して、保険や不動産、銀行はあたり前ですが、サービス業や医療関係の方の受検者もいます。
日本FP協会の認定研修(AFP・CFP)の認定者の年齢を見ると、20代が8%、30代が16%、40代・50代が31%、60代が14%となっています。
ちなみに、金融と不動産で半数以上を占めているそうです。
社会に出て間もない20代前半の方には、なかなか必要性を感じてもらえていないようですが、30代~40代のミドル層は、スキルアップや業績をアップされるため資格取得を目指されているようです。
では、どのように勉強していけばよいのか?
については、下記のページで詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
まとめ
最後にこれまでの話をまとめます。
まず、ファイナンシャルプランナー(FP)は、私たちの生活に関わるお金の相談業務を行うための専門資格。
宅地建物取引士との親和性が高く、ダブルライセンスを目指すにはもってこいの資格です。
ファイナンシャルプランナー(FP)は比較的難易度が低いため、ファイナンシャルプランナー(FP)を取得した後に、宅地建物取引士を取った方が効率的です。
ファイナンシャルプランナー(FP)2級と1級は受検資格が必要ですが、2級に関しては、日本FP協会の認定研修を修了することで、すぐに受検することができます。
3級の合格率は80%前後、2級の合格率は40%前後と難易度は高くありません。
2級でも3~4ヶ月勉強すれば、十分合格できますので、いきなり3級を目指した方が効率的です。
受験者の傾向は、30代から40代が多いため、スキルアップや業績を上げたいミドル層が資格の必要性を感じています。