
『暮らしとお金』に関する資格、ファイナンシャル・プランニング技能士は、国家資格の中でも、人気の高い資格です。
先の見えない将来に不安を抱えた多くの方が、自分と大切な人を守るため、勉強をはじめているため、需要が高まっています。
ここでは、ファイナンシャルプランナー(FP)2級の試験概要から難易度、おすすめの勉強方法まで、徹底的に解説していきます。
もくじ
ファイナンシャルプランナー(FP)2級ってどんな試験?
ファイナンシャルプランナー(FP)2級の試験は、1月・5月・9月の年3回、日本FP協会と一般社団法人金融財政事情研究会(きんざい)の2団体にて実施されます。
試験は、学科と実技の2つに分かれており、どちらも6割以上の点数を取れば合格です。
また、試験は全国で開催される会場に出向いて受検することになります。
資格は、1級から3級まであり、1級が一番難しくなります。
『受検するなら優しい3級からの方がいいのでは?』と考える方もいると思いますので、3級と2級の違いを説明します。
ファイナンシャルプランナー(FP)3級との違いってなに?
細かな違いを言い始めるときりがありませんので、ここでは勉強を始める前に知っておいた方がよいポイントのみフォーカスしてお話します。
受検資格の有無
1番大切なのが、受検資格の有無です。
勉強を始め、『受検しよう!』となった段階で、受検資格がなかったら、その後、勉強を続ける気力がなくなってしまいます。
ですので、あなたが受検できるのか、チェックしてください。
ファイナンシャルプランナー(FP)3級には、受検資格が必要ありませんので誰でも受検可能ですが、2級を受検するには資格が必要です。
受検資格は、以下の4つです。
- ファイナンシャルプランナー(FP)3級に合格している
- 厚生労働省認定金融渉外技能審査3級に合格している
- ファイナンシャルプランナー(FP)業務に関し2年以上の実務経験がある
- 日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了している
ちなみに、上記に該当しない方が、最短で受検資格を手に入れる方法は、AFP認定研修の修了です。
最低1ヶ月間、認定研修を受講し、簡単な課題を提出することで修了できるので、おすすめです。
出題範囲が違う
当たり前ですが、出題範囲が異なります。
重複する部分も多いため、3級から受検する場合は、合格後、続けて2級を受検する方が効率的です。
3級の内容であれば満点を取れる状態で、2級の過去問を解いてみたら7割取れた、という話を受講生の方からうかがったことがあります。
では、具体的な出題範囲をお話します。
まず、科目は変わらずライフプランニング、リスクと管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継の6科目です。
ただし、科目ごとに問われる項目が異なります。
ライフプランニング
3級 | ・理論、関連法規、手法 ・社会保険 ・公的年金 ・企業年金や個人年金 ・年金と税 ・資金計画と最新の動向 ・ローンとカード |
2級 | ・理論、関連法規、手法 ・社会保険 ・公的年金 ・企業年金や個人年金 ・年金と税 ・資金計画と最新の動向 ・ローンとカード ・中小法人資金計画 |
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リスクと管理
3級 | ・リスクマネジメントと保険 ・生命保険 ・損害保険 ・第三分野の保険 ・リスク管理と保険 ・最近の動向 |
2級 | ・リスクマネジメントと保険 ・生命保険 ・損害保険 ・第三分野の保険 ・リスク管理と保険 ・最近の動向 |
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※3級、2級共通
金融資産運用
3級 | ・マーケット環境 ・預貯金、金融類似商品 ・投資信託 ・債券投資、株式投資 ・外貨建て ・保険商品 ・金融派生商品 ・ポートフォリオ運用 ・税、法規、セーフティーネット ・最近の動向 |
2級 | ・マーケット環境 ・預貯金、金融類似商品 ・投資信託 ・債券投資、株式投資 ・外貨建て ・保険商品 ・金融派生商品 ・ポートフォリオ運用 ・税、法規、セーフティーネット ・最近の動向 |
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※3級、2級共通
タックスプランニング
3級 | ・税制と所得税のしくみ ・各種所得と損益計算 ・所得控除、税額控除 ・所得税の申告、納付 ・個人住民税、個人事業税 ・最近の動向 |
2級 | ・税制と所得税のしくみ ・各種所得と損益計算 ・所得控除、税額控除 ・所得税の申告、納付 ・個人住民税、個人事業税 ・法人税 ・法人住民税、法人事業税 ・消費税 ・会社と役員の税務 ・法人の決算書と申告 ・諸外国税制 ・最近の動向 |
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不動産
3級 | ・見方、取引、規制 ・不動産取得・保有に関する税 ・不動産譲渡に関する税 ・不動産賃貸 ・不動産有効活用 ・不動産証券化 ・最近の動向 |
2級 | ・見方、取引、規制 ・不動産取得・保有に関する税 ・不動産譲渡に関する税 ・不動産賃貸 ・不動産有効活用 ・不動産証券化 ・最近の動向 |
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※3級、2級共通
相続・事業承継
3級 | ・贈与に関わる法律と税 ・相続に関わる法律と税 ・相続財産評価 ・不動産や保険の相続対策 ・最近の動向 |
2級 | ・贈与に関わる法律と税 ・相続に関わる法律と税 ・相続財産評価 ・不動産や保険の相続対策 ・事業継承対策 ・事業と経営 ・最近の動向 |
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このように2級は、出題範囲が広がるとともに、問われる内容もより実務的で詳しい内容になります。
試験の実施団体で内容が違う
試験を実施する団体は、日本FP協会と金融財政事情研究会(金財)の2団体が試験を実施しております。
学科試験は、どちらの団体も同じなのですが、実技試験の内容と問題数が異なります。
大きな違いは、実技試験で問われる内容です。
FP協会の実技試験は3級、2級共通で資産設計提案業務なのですが、金融財政事情研究会(金財)は、3級が個人資産相談業務、2級が4つの業務からの選ぶ形になります。
4つの業務は、
- 個人資産相談業務
- 中小事業主資産相談業務
- 生保顧客資産相談業務
- 損保顧客資産相談業務
のうち1つを選択します。
ちなみに、受験者1番人気は、個人資産相談業務です。
試験問題数と出題形式が違う
学科試験
3級 | 問題数 60問 出題形式 ○×問題、マークシート形式(三答択一式) |
2級 | 問題数 60問 出題形式 マークシート形式(四答択一式) |
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実技試験
3級 | 問題数 事例形式5題(金財) 20問(FP協会) 出題形式 マークシート形式 |
2級 | 問題数 事例形式5題(金財) 40問(FP協会) 出題形式 計算問題や語群選択など |
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三択から四択に変わるだけでも単純に難易度が上がりますし、実技では語群選択や計算問題があるため、3級に比べ難易度は跳ね上がります。
さらに、FP協会の実技試験は、問題数が20問から40問に増えるため、スピーディーな回答が求められます。
ファイナンシャルプランナー(FP)2級はどれぐらい難しいの?
これまでのお話しで、3級と2級の違いは、ご理解いただけたと思います。
では、次にファイナンシャルプランナー(FP)2級の難易度についてお話します。
これから挑戦される方にとって、特に気になる内容ですよね。
受検を3級からにするのか、2級からにするのか、のヒントになると思います。
難易度と合格率は?
前述しました出題範囲や問題形式だけでは、難易度をお伝えできていない可能性もありますので、別のものに例えたり、別の資格と比較することで、ファイナンシャルプランナー(FP)2級の難易度をお伝えしたいと思います。
まず、多くの方に伝わりやすいと思いますので、大学受験で例えます。
大学受験で例えると、偏差値50前半になります。(あくまでたとえです。正確な数字ではありません。)
難しいものの、そこまで簡単ではない、といった難易度ですね。
実際、合格率を見ても40%前後と国家資格にしては高く、しっかりと対策さえしておけば、合格できる資格です。
別の関連資格と比べてみると
次に別の資格と難易度を比べていきます。
おそらく、あなたは、『別の資格と比べて何の意味があるの?』と思いますよね。
実は、ファイナンシャルプランナー(FP)2級は、別の資格と一緒に取得することで、相乗効果が得られるのです。
もちろん、単体でも十分意味はありますよ。
それでは、相乗効果が得られる資格との難易度を比較していきます。
宅地建物取引士
不動産取引法務に関する国家資格です。
不動産関係のお仕事をしている、または、今後する予定なら、ファイナンシャルプランナー(FP)×宅地建物取引士のダブルライセンスがおすすめです。
合格率を比べてみると、ファイナンシャルプランナー(FP)2級が40%前後に対して、宅地建物取引士は15%から17%。
合格までの平均学習時間を比べてみると、ファイナンシャルプランナー(FP)2級が150時間から300時間なのに対して、地建物取引士は300時間。
宅地建物取引士は、ファイナンシャルプランナー(FP)2級よりやや難しい資格になります。
行政書士
法律関連資格の登竜門。街の法律家とも呼ばれる国家資格。
業務内容の中に、相談業務もあるため、ファイナンシャルプランナー(FP)2級とは相性のよい資格の1つです。
法律関連の資格という時点で、難易度が高いことはおわかりいただけるかもしれませんが、どのぐらいの差があるのか、比べてみます。
行政書士の合格率は、10%から15%。
合格までの平均学習時間は、500時間から800時間。
ちなみにファイナンシャルプランナー(FP)1級の平均学習時間が500時間前後ですので、難易度は、1級よりもやや難しい資格といえますね。
社会保険労務士
労働・社会保険問題の専門資格。もちろん、国家資格です。
社会保険労務士は難関資格に分類され、合格率は6%から7%と言われています。
合格までの平均学習時間も1000時間と、ファイナンシャルプランナー(FP)2級よりも圧倒的に難しい資格です。
ファイナンシャルプランナー(FP)はそれぞれの資格の基礎となる部分も勉強していきますし、資格の難易度から見ても、まずはファイナンシャルプランナー(FP)2級を取得した後、次の資格を目指すのが効果的です。
ファイナンシャルプランナー(FP)2級を取るメリットってなに?
『そもそも資格を取ったら何に役立つの?』一番気になるところだと思います。
毎日忙しい中、150時間以上もかけて勉強をして、ようやく資格を取ったのに、全く使えない、では話になりませんよね。
そこで、資格を取ったら何に使えて、どうなるの、ということをお話します。
就職や転職に役に立つ?
ファイナンシャルプランナー(FP)は、就職や転職に役立ちます。
まず、ファイナンシャルプランナー(FP)は国家資格です。
国家資格は民間資格に比べて社会的な信頼性も高いため、面接時にアピールできます。
特に金融業界や保険業界を目指されるのであれば、よりアピール効果は高まります。
ただし、3級ではアピールになりませんので、ご注意ください。
3級では、ファイナンシャルプランナー(FP)基本知識を学びます。
そのため、3級を取得していても基本知識は身についているものの実務レベルではない、と判断されます。
ファイナンシャルプランナー(FP)を就職や転職で役立てようという方は、2級を取得しましょう。
プライベートでは?
もちろん、プライベートでも役立ちます。
ファイナンシャルプランナー(FP)は、暮らしとお金のエキスパートです。
資格取得の勉強を通して、自身の資産管理や保険、相続対策などを学ぶことができます。
すぐに効果がでるとは限りませんが、5年、10年、20年後、知識のあるかないかで、結果が大きく変わってくるはずです。
プロのファイナンシャルプランナーに相談し、保険を見直などを行ったところ、毎月の出費が2万円減った、という話しも聞いたことがあります。
副業に活かせる?
副業に活かせます。
実際にファイナンシャルプランナー(FP)2級を活かし、週末だけ活動をしている方もいます。
これまでに資格を取った人が、ライターをしたり、キンドルで本を出版したり、セミナー講師をしたり、相談業務を行ったりしているとうかがったころがあります。
独立・開業は?
独立・開業も夢ではありません。
地方の方になりますが、開業し、今では地方テレビに出演されたりしている方もいらっしゃいます。
将来的に独立し、自由な働き方を実現したい方にも役立つ資格です。
ファイナンシャルプランナー(FP)2級のおすすめ勉強法?
ファイナンシャルプランナー(FP)2級の試験範囲は広いため、長期間モチベーションを維持しつつ勉強を続ける必要があります。
そこで大切になってくるのは、仕分けです。
わかっていることと、わかっていないことを分類し、わかっていることに極力時間を使わない勉強を行いましょう。
特におすすめなのが、過去問題を解くことです。
そこでわからなかった問題や迷った問題をピックアップし、そこを重点的に勉強してください。
そして、過去問題を6割以上解けるようになったら段階で、解答スピードにも意識します。
最終的に9割以上、正解できるようになるまで、繰り返し解いてください。
その後、試験まで時間があれば、教科書全体を読み込んでください。
これが、最短で合格するおすすめの勉強方法です。
ファイナンシャルプランナー(FP)2級は独学でも取れる?
ファイナンシャルプランナー(FP)を独学で取得することは可能です。
書店に行けば、参考書がたくさんありますし、アプリなどもあったりします。
自分にあった参考書を選び、勉強を継続できれば、十分合格は目指せます。
ただし、受検資格を持っていなければいけません。
受検資格がない方は、3級からの受検になります。
2級と3級は同日に試験が行われますので、長期間勉強を続けられる意志の強い方であれば大丈夫です。
短期間で効率的に勉強したい、解き方がわからないや意味のわからない問題について質問したい、一人で勉強を続ける自信がない、失敗したくない、という方は通信講座がおすすめです。
通学講座よりも安価ですし、電話で何度でも質問できる会社もあります。
まとめ
最後にこれまでの話をまとめます。
ファイナンシャルプランナー(FP)2級は、3級に比べて問われる内容が広くなるため、ある程度、対策を立てて勉強しなければ、合格できない資格です。
宅地建物取引士、行政書士などに比べて難易度は低く、合格率も40%前後と初めて挑戦するのにおすすめ。
また、ファイナンシャルプランナー(FP)2級を受検するには、資格が必要です。
現在、受検資格を持っていなかったとしても、認定研修受ければ、最短1ヶ月で受検資格が手に入ります。
ファイナンシャルプランナー(FP)2級は、仕事やプライベートで活用でき、将来的に独立も可能な資格なので、人気の高い資格です。
独学でも長期間勉強を続ける強い意志があり、受検資格を持っているのであれば、合格できます。
短期間で効率的に勉強したい、解き方がわからないや意味のわからない問題について質問したい、一人で勉強を続ける自信がない、失敗したくない、という方は通信講座をご検討ください。
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