
ファイナンシャルプランナー(FP)の資格は、あきらめずに勉強を続ければ、合格できる資格です。
ただし、独学で合格を目指すのであれば、どんな勉強法が自分に適しているのか知っておく必要があります。
やみくもに勉強を始めてしまうと、2年、3年と合格まで必要以上の時間がかかってしまうことになります。
あなたも家事や育児、仕事で毎日忙しいなか、勉強をされるはずです。
せっかく勉強したのに合格できなければ、目も当てられません。
そうならないために、この記事では、独学で試験を突破する効果的な方法や、ファイナンシャルプランナー(FP)の試験を受けてみようかな、と思い始めた方でも安心して読んでいただけるように試験概要とこれから学ぶことがどのようなことなのか、お話しします。
もくじ
独学でファイナンシャルプランナー(FP)の資格取得は可能?
ファイナンシャルプランナーの資格を取得する場合、その主な方法は「独学」か「受講」です。
FPは、資格の性格上、働きながら目指すという方が多いので、「できれば時間もお金もかけずになんとかしたい」というのが多くの方の本音だと思います。
そうなると、もっとも安く済みそうなのは当然、独学ということになります。
よく、「FP試験向けのテキストなどを購入して独学することで、資格試験を突破することは可能なのでしょうか?」と質問をいただきます。
そのたびに「不可能でありません」とお答えしています。
実際に独学で試験を突破する方がいらっしゃるからです。
ですが独学は、学習にかかるお金が最小限で済みますが、デメリットもあります。
独学のメリットとデメリット
メリット
まず、ファイナンシャルプランナーを独学で目指すメリットについて考えてみましょう。
独学の場合は、FP試験を目指すための参考書などの教材を自分で買いそろえる必要がありますが、基本的にはこれらの教材にしかお金はかかりません。
どうしてもお金をかけたくないという方には、独学がもっとも向いています。
また、期間を気にせず、自分のペースで学習を進められることも独学のメリットだといえるでしょう。
FP試験は年に3回行われるので、自分で目標とする試験を選定し、そこへ向けて学習計画を自分で立てられるのであれば、独学でも試験を突破できるかもしれません。
デメリット
一方、独学には、大きなデメリットがありますので、独学での突破を目指している方は気をつけてください。
これは、受験資格や試験の傾向に起因するデメリットです。
独学の場合、教材を自分で購入して学習を始めますが、まず、その教材選びが大変です。
ファイナンシャルプランナーの試験には、学科試験と実技試験があるので、それぞれに対応したテキストを選ばなければなりません。
合格するためにも最低限、問題集(過去の出題傾向がわかるもの)も繰り返し解いておきたいので、少なくとも3冊の教材が必要です。
そして、困ってしまうのは、販売されている教材の数が多いことです。
ファイナンシャルプランナー試験を受けたことのない方が、多くの候補から絞り込むのはなかなかの労力が必要となります。
『ネットでレビューを調べられるので大丈夫』と考えられる方もいらっしゃいますが、自分の現在地にあった教材を選ばないと、目標とする試験までに、しっかりとした準備ができない可能性があります。
次のデメリットは、受験資格です。
ファイナンシャルプランナー資格試験を受験する際には、受験資格を満たす必要があります。
2級FP技能士の資格試験の受験資格は「2年以上の実務経験」「3級FP技能士の資格を持っている」、もしくは「認定講座修了」です。
すなわち、独学で2級から受験することを考えると、実務経験か3級を持っていないと実質、受験はできないということになります。
受験資格を得るのが難しいことは、独学の大きなデメリットです。
もうひとつの大きなデメリットは、「法改正」への対応です。
ファイナンシャルプランナー資格試験では、最新の法改正の内容に関する問題が高い確率で出題されます。
このような出題には、過去問を解くだけでは対応不可能です。
独学の場合は、自分で法改正に関する情報をチェックして、学習しなければなりません。
これはなかなかの労力になります。
通信講座や通学講座を受講する場合は、最新の法改正の情報が反映されたカリキュラムになっているので、自分で情報を探すなどの手間暇をかける必要はありません。
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ファイナンシャルプランナー(FP)の難易度、合格率、試験会場
ファイナンシャルプランナー(FP)は、暮らしとお金に関する相談業務を行うプロフェッショナルです。
これだけを聞くと、何か堅いイメージを持たれるかもしれませんね。
そのせいか、『算数が苦手な私には無理かも』と勘違いされ、資格取得をあきらめてしまう方もいます。
ファイナンシャルプランナー(FP)で求められるのは、どちらかというと計算ではなく、私たちの生活にかかわるお金に関する知識なので、計算が苦手でもあきらめる必要はありません。
正直、小学校レベルの計算ができれば問題ありません。
ただし、試験で問われる内容は、広く浅く、様々な知識が求められます。
つまり、計算などは簡単だけれど、出題範囲が広いため、試験対策なしに合格することは難しい、ということです。
試験の難易度は?
資格は国家検定です。
資格を取得することで、ファイナンシャル・プランニング(FP)技能士を名乗ることができます。
試験は、1級から3級まであります。
難易度は、1級が一番難しく、2級、3級と難易度が優しくなっていきます。
ちなみに、合格率は1級が10%前後、2級が40%程度、3級が80%程度。
2級と3級で出題科目は変わらず、ライフプランニング、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継の6科目です。
3級では、ファイナンシャルプランナー(FP)としての基本的な知識やしくみについて問われます。
それに引き替え、2級では、計算などより実践的な内容と法人税や事業承継対策など法人関連の内容が問われます。
また、3級はどなたでも受けられますが、2級は受検資格を持っていないと受検自体できません。
ファイナンシャルプランナー(FP)2級の受検資格は以下の4つです。
・日本FP協会が認定するAFP認定研修の修了
・3級ファイナンシャルプランナー(FP)の合格
・ファイナンシャルプランナー(FP)に関する2年以上の実務経験
・厚生労働省認定金融渉外技能審査3級の合格
受検資格を持たない方が最短で2級を取得する方法はAFP認定研修の修了です。
最短1ヶ月で修了できます。
試験はいつどこで実施される?
試験は、毎月実施されるわけではありません。
毎年、1月、5月、9月の3回です。
受検の申請期間は、1月受検→翌年11月ごろ、5月受検→3月ごろ、9月受検→7月ごろ。
およそ1ヶ月間、受検申請することができます。
試験は、全国指定の会場にて実施されます。
(ちなみに試験会場は試験の度に変わります。)
受検申請時に地区は指定できますが、試験会場を指定することはできません。
後日、受験票が届くまで試験会場はわかりません。
原則、急な転居や転勤、出張などでやむを得ない場合を除き、試験会場の変更はできませんので、ご注意ください。
試験当日の持ち物
試験概要の最後に『試験会場へ何を持っていけばいいのかな?』となってしまわないように、当日の持ち物についてお話します。
必要なのは、以下の4つです。
(1)受験票
(2)本人確認書類
運転免許証、パスポート、個人番号カード、学生証(写真貼付)、在留カード・特別永住者証明書(写真貼付)、弁護士・税理士・社会保険労務士・司法書士・宅地建物取引士・行政書士(写真貼付)、住民基本台帳カード(写真貼付)、健康保険被保険者証(写真貼付されていない場合、受験票へ写真貼付)、障害者手帳(写真貼付されていない場合、受験票へ写真貼付)、小型船舶操縦士(写真貼付)のいずれかをお持ちください。
(3)筆記用具
(4)電卓
26㎝×18㎝の大きさを超える、または、関数機能〔Σ(シグマ)・log 等〕・ローン計算・複利計算・紙に記録する機能、音〔タッチ音・音階・音声等〕を発する機能、プログラム(計算式)の入力(登録)機能、計算過程をさかのぼって確認できる機能がついているものは、持込できません。
また、スマホや携帯電話の計算機能は、使用できません。
筆記具と電卓の貸出しはしてもらえませんので、ご注意ください。
その他、あったらいいものは、
・防寒着
会場によって室温が異なります。
・昼食やおかしなど
会場によっては、近くに店やコンビニのない場合があります。
あとは、試験の合間に小腹がすいた際、食べれるものがあったら安心です。
(試験中は飲食禁止です。)
・腕時計
まれに時計のない会場があります。
時間がわからず、焦って実力を発揮できなかった方がいらっしゃいます。
FP技能検定3級
FP技能検定3級は、ファイナンシャルプランナーになるために、最低限必要な基礎的な知識が問われる検定試験です。
そのため、合格率はかなり高めで、学科・実技ともに7~9割ほどとなっています。
FP技能検定3級は、受験資格が問われないため、誰でも挑戦することが可能です。
認定研修を修了しておらず実務経験もなく、独学でファイナンシャルプランナーを目指す場合は、ここからのスタートになります。
試験はマークシート方式です。
計算問題もありません。
学科試験は、「ライフプランニングと資金計画」「金融資産運用」「タックスプランニング」「リスク管理」「相続・事業承継」「不動産」の6科目から出題されます。
実技試験は「資産設計提案業務」で、こちらもマークシート方式です。
例えば、過去にこのような問題が出題されました。
地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30%から50%の範囲内で設定されるが、居住用建物については( ① )、生活用動産(家財)については( ② )が上限となる。
1) ① 3,000万円 ② 500万円
2) ① 3,000万円 ② 1,000万円
3) ① 5,000万円 ② 1,000万円
このような問題が出題されます。
ちなみに答えは3です。
FP技能検定2級
FP技能検定2級は、FPの実務をこなせると判断される、難易度中レベルの資格試験です。
合格率は学科4割程度、実技試験は5~6割程度です。
約半数の受験者が合格しているので、計画的に学習すれば、それほどの難関ではないといえるでしょう。
実際にファイナンシャルプランナーとして働くことを目指すのであれば、最低限、この2級を目指す必要があります。
FP技能検定2級でも、3級と同じ科目が出題されますが、より深い知識が求められます。
たとえば、計算能力や、図の読解力が求められる問題が出題されるため、しっかり準備をして試験に臨まなければなりません。
実技試験も3級同様にマークシート方式です。
FP技能検定2級は、実務経験がない場合は先に3級を取得、もしくは認定講座を修了して、受験資格を得る必要があります。
過去にこのような問題が出題されました。
1.健康保険の被保険者の3親等内の親族(直系尊属、配偶者、子、孫および兄弟姉妹を除く)が被扶養者になるためには、被保険者と同一世帯に属していることが必要である。
2.国民健康保険の加入者は、全員が被保険者であり、被扶養者という区分はない。
3.退職により健康保険の被保険者資格を喪失した者が、健康保険の任意継続被保険者となるためには、資格喪失日の前日までの被保険者期間が継続して1年以上なければならない。
4.健康保険や国民健康保険の被保険者が75歳になると、原則として、その被保険者資格を喪失して後期高齢者医療制度の被保険者となる。
ご覧いただければ、わかると思いますが、難易度が上がっています。
ちなみに答えは3です。
FP2級と3級、どちらを学ぶべき?
では、FP2級と3級、どちらを学び始めるべきか、というと、やはり順番から考えて3級から学ぶべきでしょう。
3級の内容は、ファイナンシャルプランナーの基礎的なものなので、私たちの普段の生活と直結するようなトピックが多く、入口としては最適です。
さらに、3級でどの問題を問われても100点が取れるだけの知識が身につけば、その時点で2級の問題も5~6割は解けるようになっています。
合格が6割ですので、プラスで少し2級の勉強をすれば、十分合格点を目指していただけると思います。
さらにさらに、結婚式、マイホームなど、数々のビッグイベントがあるので、しっかり計画し、計画どおりに人生を進めていくには、ローンや保険などを含めてどんな準備をすればよいのか、3級を学習すると見えてきます。
そして、FP2級では3級の内容を深め、お金の流れや住宅ローンの返済計画の立て方、ファンドなどの金融商品を運用するノウハウなど、より実践的な内容を学ぶことができます。
3級からでも飛ばして2級からでも構いませんが、ファイナンシャルプランナーの勉強を始めましょう。
『受検資格はないけれぼ、どうせ勉強するなら2級からがいい』という方は、認定研修がセットになった講座の受講を検討してください。
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ファイナンシャルプランナー資格で扱うお金の分野
FP技能検定で出題される科目は、ファイナンシャルプランナーが扱うお金の分野そのものです。
「ライフプランニング」「タックスプランニング」「金融資産運用」「不動産」「相続・事業承継」「リスク管理」の6分野、それぞれについて少しご紹介します。
ライフプランニング
ファイナンシャルプランニングにおけるライフプランニングは、健康や経済、生きがいというエリアを網羅し、暮らしのプランを立てることを目的としています。
これを実現するために、教育資金や住宅資金、老後の資金などを含めて資金計画を作成し、管理します。
ファイナンシャルプランニングの分野では、このようなことを学びます。
タックスプランニング
タックスプランニングの分野で主に学ぶのは所得税についてです。
税金はファイナンシャルプランニングの全領域に関係してくるものですが、2級では所得税のほかに消費税や法人税についての内容も学びます。
生活とかかわりの深いこれらの税金は、条件が満たされた場合、減税や控除などもあるので、しっかり知識を身に付けておきましょう。
金融資産運用
金融資産運用で学ぶのは、主に投資についてです。投資信託や株のほか、デリバティブ取引など、さまざまな投資についての知識がファイナンシャルプランナーには必要とされます。
FP技能検定で出題される内容は、資産運用の現実的な内容が多いので、すでに資産運用の経験がある方は、少し有利かもしれません。
不動産
不動産分野では、賃貸契約や建築基準法、不動産の譲渡などに関する問題が多く出されます。
相続・事業承継
相続・事業承継の分野では、2級においても基本的な知識が問われます。
もっとも難しいといわれる分野ではありますが、それはさらに上のレベルのことと割り切り、相続や贈与税の基本的なシステム、一般的な知識、財産評価、遺言などを中心に準備をしておきましょう。
リスク管理
リスク管理の分野で学ぶのは保険です。
生命保険、損害保険のシステムに関する問題が多く出されるため、詳細な部分まで勉強し、試験に備えましょう。
保険のシステムは複雑ですが、この分野ではそんなところまで突いてくる問題が出されます。
さらに難易度の高いFP資格
ここまで、FP2級、3級についてご紹介してきましたが、ファイナンシャルプランニングにかかわる資格はこのほかにも存在します。
AFP資格
AFP資格は、ファイナンシャルプランナーとして活躍するための知識を持ち、適切な提案やアドバイスができる能力も併せ持つ、高度なファイナンシャルプランニング能力を持つFPに与えられる資格です。
常に学び、備えられた実力や技術を証明し、倫理的な規定についても遵守する必要があります。
AFPは、日本FP協会による民間資格で、Affiliated Financial Plannerの頭文字を取ったものです。
CFP資格
CFP資格は、ファイナンシャルプランニング関連では最高峰ともいえる、アメリカやオセアニア、ヨーロッパなど、世界でも認知されている資格です。
共通の基準をワールドワイドに共有し、その高度な知識と豊富な経験により、長期的な視野で的確なアドバイスを送れるファイナンシャルプランナーのみがCFPを名乗れます。
日本では、日本FP協会が認定を行っています。
FPを目指すなら何がオススメ?
ファイナンシャルプランナー、そしてFP技能試験について、独学で目指すことが可能かどうかにも触れながらご紹介してきました。
独学でも合格を目指せますが、受験資格を得ることが難しく、また、他にもデメリットがたくさん。
そのため、講座の受講を検討した方が早くてお得です。
講座には2タイプあります。
通学と通信です。
通学は、金額が通信の倍ほどしますが、その分、先生に直接教えてもらえるため、手が止まることが少なく、スムーズに勉強できます。
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通信の場合、金額はお手頃ですが、先生のフォローが不十分。
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